さんゆうねっと

お手伝いハルコの食の森羅万象

長年食を多面的に観察してきた後藤晴彦(お手伝いハルコ)が、食文化の現在過去未来を考察します。

パリ滞在記・① パリのアパルトマンで朝食を

久し振りにパリに行ってきました。アパルトマンを借りて自炊するという、パリ暮し気分を味わいたかったのです。

アパルトマンは、パリ左岸のメトロ8番のÉcole militaire(エコール・ミリテール駅)の交差点にあるブラッスリーの2階。すぐ側にはナポレオン廟の“Les Invalides(アンヴァリット)”があり、駅名になっている“École Militaire(旧陸軍士官学校)”が真向かいで、“Tour Eiffel(エッフェル塔)”も間近に見えます。アパルトマンのキッチンには、IHの調理台、冷蔵庫、オーブン、食器洗浄機に洗濯機と、コンパクトにまとめられており、電子レンジやトースター、電気ポット、コーヒーレーター、鍋。フライパンの包丁なども大体揃っていました。冷蔵庫を開けて見ると、見事に空っぽです。以前、妻が仕事でアパルトマンを借りた時は、オーナーが日本人だったので調味料などは基本的なものは揃っており、食材を買うだけで良かったと言っていましたが、ここでは何もかも揃えないといけません。

近所には、カフェやブラッスリーの連なる商店街があり、野菜、果物、魚、肉、チーズ、ワインの店が何軒もあって便利です。当座に必要なもののリストを作り、スーパーマーケットに出掛けたのですが、ミネラルウォーター、牛乳、ジュース、コーヒー、紅茶、コーヒーフィルターと買い進めていき、調味料のところではたと困ってしまいました。滞在はわずか一週間ほどなので、調味料は使いきれません。塩は岩塩をミルで砕くタイプの小さなものにして、余ったら日本へ持ち帰るとしても、問題はバターと砂糖。フランスでもバターが不足しているという話は聞いていましたが、バターコーナが空っぽではないですか。かろうじて無塩バターが少しばかりあるだけ。本当は有塩バターが欲しいところですが、無いよりはマシと、思い切って250gを購入。砂糖に至ってはさらに大きいサイズのみなので、流石にこれは断念し、少しの砂糖ならカフェでもらってくればいいかと(笑)。余談ですが、パリで一番の老舗デパートのボン・マルシェ(Le Bon Marché)のバター売り場には沢山の高級ブランドバターがありました。


それと、パリのスーパーマーケットにはレジ袋がないのです。朝食用に野菜を幾つかとハムを買い物カゴに入れてレジに行くと、買ったものを入れるための袋がありません。2016年7月1日からフランス政府によって使い捨てのプラスチック製レジ袋の使用が禁止されたとのこと、各自エコバック持参で買い物をしなくてはならないのです。ネクタイ姿の紳士が、ビジネスバックから花柄のエコバックを取り出す姿は実に微笑ましいものです。

冬のパリの朝は日が昇るのが遅くてとても寒いのですが、朝イチで洗濯機を廻したら、先ずはパンを買いに出掛けます。アパルトマンの周りには、歩いて数分の距離にブーランジェリー(パン屋)が3店舗ある上に、ショコラトリー(チョコレート屋)の“JEAN-PAUL HÉVIN(ジャン=ポール・エヴァン)”の本店から、パティスリー(ケーキ屋)の“LENÔTRE(ルノートル)”、コンフィズリー(砂糖菓子屋)などが沢山あるので、パンは毎朝3店舗を代わり番こで試してみることにしました。

クロワッサン、パン・オ・ショコラ、バゲットと買い込んでアパルトマンに戻り、濃いめのコーヒーを入れます。カフェ・オ・レ・ボウルにたっぷりとカフェ・オ・レを作りたかったのですが、残念ながら無いので、そこはコーヒーカップで我慢。焼きたてでまだ熱いくらいのバゲットに、バターをたっぷりとのせます。さらに、それをカフェ・オ・レに浸して食べたり、バゲットを縦に切ってバターにハム、チーズを挟んでタルティーヌ(オープンサンド)にしたりと、一週間毎朝食べていました。当のフランス人の朝食はと言うと、カフェ・オ・レを除けば、冷たい食べ物ばかり。おまけに甘いものばかりなのです。キッチンのある裏窓から見えるのは、マロニエの葉が風で落ちて、空は青みがかった鉛色の空。嫌いではないパリの冬の風景です。

昼と夜は、ちょっとパリジャンな気分でブラッスリーやビストロを巡りました。その話は次回に!