さんゆうねっと

日本酒 四季の旅。識の旅。

日本の歳時を映す日本酒。四季折々の移ろいと長い年月の中で培われてきた、お酒を巡るお話を。

如月の候

一年で最も寒さが厳しくなるこの時期、多くの蔵では、その年の最も高品質な酒を造る作業を行っています。全国新酒鑑評会は、1911年に始まった日本国内の酒造メーカーの技術を全国レベルで評価する国内唯一の審査会で、そこに出品できるお酒は毎年1工場から1種類のみ。なので、各酒蔵は金賞受賞を目指し、大変な神経を注いで臨んでいるのです。

そのほかにも、2月には「立春朝搾り」に取り組む蔵が増えています。これは、節分の夜から一晩中醪(もろみ)を搾り続けて、立春の早朝に搾り上がったばかりの生原酒をそのまま瓶詰めして販売するというもの。日本名門酒会という全国120余りの酒造メーカーと1千数百の日本酒卸、小売販売店などで構成されるネットワークで、そこに加盟する酒造の40数社で行っているユニークな試みです。


通常お酒を搾る日は、醪の発酵の進捗状態を杜氏が見て決めるのですが、搾りの日が2月4日と決まっている立春朝搾りは、醪の出来上がりが早過ぎても遅過ぎてもダメ。完璧な管理と微妙な調整が必要なので、「大吟醸より神経を使う」と、蔵人にとってもチャレンジングなお酒なのです。

また、搾り上がったら直ぐに瓶詰して出荷しなければならないため、前の日の夜中から、時には徹夜作業が行われており、その日のうちに飲んでいただくために近郊の酒販店さんが自ら蔵に足を運んで、瓶詰めや出荷の作業をお手伝いすることも。そうして注文分のお酒をそのまま直接蔵から運び出し、いち早く販売できる訳です。通常は蔵に行かないと味わえない、火入れも、加水もしていないフレッシュな原酒を楽しめるチャンスでもありますので、見かけたらぜひ一度味わってみてください。