さんゆうねっと

日本酒 四季の旅。識の旅。

日本の歳時を映す日本酒。四季折々の移ろいと長い年月の中で培われてきた、お酒を巡るお話を。

睦月の候

年も改まり、清々しい空気に包まれるこの季節、蔵では酒造りの最盛期を迎えます。10月や11月のように突然気温が上がる日もなくなり、北国では雪のおかげで、蔵の中が醸造に最適な冷温の状態に保たれます。もちろん働いている蔵人にとっては厳しい環境ではありますが、この気候のおかげで、より上質な酒が醸されるのです。

ただ、そんな寒い蔵の中でも、常に暖かい場所があります。それは、米麹を作る麹室。日本酒造りでは、昔から「一麹、二酒母(もと)、三造り」と言われるほど、麹は日本酒の酒質に最も影響を与える大切なものです。

麹とは、蒸した米に麹菌(種麹)をふりかけて、二昼夜かけてデンプンを糖に変換するために微生物を繁殖させたものを指します。この糖を酵母が食べてアルコールに変化させる過程、所謂「発酵」によって造られたものが日本酒です。


微生物である麹菌が活発に繁殖するのに必要なのは、適度な温度と湿度です。麹室には、温度管理するためヒーターや電熱が張り巡らされており、室内は30度~40度、湿度は60%程度に保たれています。冬でも夏のような条件の下で、麹づくりは行われるのです。

この米麹は栄養素の塊。麹にはお米のデンプンやタンパク質などを分解する様々な酵素が含まれており、グルコースやアミノ酸、ビタミン類を作り出しています。最近では、ご家庭でも甘酒や塩麹づくりができるように、スーパーマーケットなどで乾燥麹が入手できる上に、酒蔵がつくった米麹も販売されるようになって、ますます注目を集めています。