さんゆうねっと

日本酒 四季の旅。識の旅。

日本の歳時を映す日本酒。四季折々の移ろいと長い年月の中で培われてきた、お酒を巡るお話を。

神無月の候

全国各地で稲刈りが本格化する季節。黄金色に輝く稲穂は、日本の豊穣の象徴ですね。収穫を祝って、全国各地で秋祭りが開催されます。

そして、10月は干支の10番目にあたる「酉」の月です。十二支は、ご存知の通り、各月を表す記号。酉という字は、日本では「トリ」と読まれますが、元来壷の形を表す象形文字で、酒を意味しています。

新米が収穫され、蔵人が入り、酒蔵が動き始める時期でもあり、酒造年度と呼ばれる清酒醸造期間の区切りが、以前は10月1日から翌年9月30日までとなっていたことから、10月1日を酒造りの元旦として祝う風習がありました。日本酒造中央会が1978年にこの日を「日本酒の日」と定め、様々なイベントが開催されています。


また、旧暦9月9日の「重陽の節句」は、新暦では10月中旬から後半にあたります。別名「菊の節句」とも呼ばれ、冬枯れ前に輝くように咲く菊を愛でつつ、破邪(はじゃ)と長寿を願って飲まれるのが「菊酒」。かつては菊の花を漬け込んでいましたが、平安時代の頃からは菊の花びらを浮かべて飲む習慣が続いています。

少し肌寒くなってくるこの時期、鑑賞はもちろん、日本古来のハーブとして、また食用花(エディブルフラワー)としても楽しまれている菊とともに、ぬる燗は如何でしょうか?

注)現在の酒造年度は、7月~翌6月です。