さんゆうねっと

日本酒 四季の旅。識の旅。

日本の歳時を映す日本酒。四季折々の移ろいと長い年月の中で培われてきた、お酒を巡るお話を。

水無月の候

梅雨の空にも、大きな紫陽花にも、水の恵みを感じる時期。京都などでは、青竹の筒から注がれる「竹酒」を愛でることも。ほんのりと香る若い竹の香りが、日本酒に清涼感を与えてくれます。

さて、日本酒の原材料の80%は水です。水の善し悪しがお酒の決め手といっても過言ではありません。また、一本のお酒を造るのに、洗米からその8倍の量の水が使われると言われています。

日本の国土の73%は、標高300m以上の山や森林です。そこに、平均して年間1,800mm前後の雨が地域の偏りも小さく降り注ぎます。世界のワイン名産地と比べると、3~8倍の量です。山地に多くの雨が降ることで、素晴らしい水が日本全国各地で手に入るのです。

日本酒造りに関して水はとても重要で、酵母を活性化させて発酵を進みやすくするのは、水に溶けたカリウムやマグネシウムなどのミネラル。このミネラル分の違いで、出来るお酒が特徴づけられるのです。ミネラル分の割合が多い水(硬水)で造られた日本酒は力強くきりっとした辛口に、ミネラル分の少ない軟水では柔らかい口当たりの甘口に仕上がります。例えば、硬水で知られる灘、軟水の伏見の酒が「灘の男酒、伏見の女酒」と表されることがあるほど。

但し、日本酒のラベルの原材料表記には「水」と書かれていないものが殆どです。それほど日本人にとっては水があることが当たり前だということかも知れませんが、その恵みには深く感謝をしたいものです。