さんゆうねっと

日本酒 四季の旅。識の旅。

日本の歳時を映す日本酒。四季折々の移ろいと長い年月の中で培われてきた、お酒を巡るお話を。

皐月の候

全国的に田植えが本格化し、水を張った圃場(ほじょう)に緑の苗が整然と並ぶ光景は、清々しい風を感じるこの季節にぴったりのものですね。日本では、国に登録されている米の品種は839種(2016年3月31日現在:公益社団法人米穀安定供給確保支援機構HPより)。実際作られているものは約400種類と言われています。

日本酒を造るのに加工用米や普段食べる主食米も使われますが、全体の4割近くは酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)と言われる「酒造りを目的として育てられた米」が使われます。酒造好適米は酒米(さかまい)とも呼ばれ、その数約100種類。代表的なものには、山田錦(やまだにしき)、五百万石(ごひゃくまんごく)、雄町(おまち)などがあり、ラベルに書かれていることも多いのでご存知の方も多いでしょう。では、酒造好適米とはいったいどういうお米かご存じですか?

ワインにおけるブドウと違い、お米からは直接アルコールを造ることは出来ません。米麹の酵素の力でお米のデンプンをブドウ糖に変え(糖化)、それを酵母が食べてアルコールへ変える(発酵)ことで出来上がるのが日本酒です。

酒造好適米は一般米に比べてこのデンプン部分が大きく、またお米の中央部に固まって存在するため、発酵がよりスムーズで、雑味の少ない綺麗な味に仕上がる特徴があります。そのため、「吟醸」や「大吟醸」と呼ばれる分類のお酒に多く使われているのです。